超人たちの闘い

なんというか、マルチゲームの様相を呈してきたなあと思った。第6部ストーンオーシャンの後半でも三つ巴の戦いが少しありました。もしかしたら荒木飛呂彦は正義対悪の二元的なバトルではなくて、こういうバトルロイヤルを描きたくて第7部の設定を作ったのかもしれないねえ。
17巻の戦いは、学生の頃にさんざん遊んだマルチゲーム「超人ロック」を彷彿とさせました。ワクワクするよ。
カードゲーム「超人ロック」は、複数のキャラクターがGood、Evil、Specialの3種類の陣営に分かれて戦うゲームです。このゲーム、各陣営によってゲームの勝利条件が違うんですよ。
Good・・・Evilを全滅させるor重要拠点を破壊する
Evil・・・Goodを全滅させる
Special・・・各キャラクターごとに勝利条件が違う
特にSpecialの立ち位置が実に微妙で、自分が勝つために両陣営と交渉しないといかんのです。17巻はこのSpecialキャラが何人かいるせいと、謎のスタンド能力のせいで、とってもカオスなことになっています。


以下はネタバレを含みます。
荒木先生もカオスだと思ったんでしょうね。17巻の頭には、各登場人物と彼らの目的を紹介していました。
ジョニィ・・・ジャイロと仲間。目的は自分が遺体を全て手に入れること。
ジャイロ・・・ジョニィと仲間。目的はレースで優勝すること。
大統領・・・目的は自分が遺体を全て手に入れること。
大統領の部下のスタンド使いたち・・・大統領の仲間。目的は大統領の目的の達成。
DIO・・・目的は自分が遺体を全て手に入れること。
ウェカピポ・・・元は大統領側の傭兵。ルーシーの護衛をジャイロに頼まれた。目的は追放された祖国に戻ること。
今まではジョニィたちvs大統領vsDIOという単純な三つ巴でしたが、ウェカピポがフリーになったせいでとても難しい立ち位置になりました。ウェカピポは祖国を追放された身で、簡単には国に帰れません。彼の目的は全てが終わった後に祖国に戻って、妹と平和に暮らすこと。そのためには、安全に祖国に戻る後ろ盾が必要です。だからなんとしても勝ち側にいたい。逆に言えば、後ろ盾さえもらえれば誰が勝ってもいいわけです。とてもフリーダムな代わりにとても難しいポジション。
マルチゲームでこういう役を引くと、自分は思考が停止します。理論よりも感情と勢いで動くタチなので、コウモリ役は苦手です。敵と味方がはっきりしている方が動きやすいし生きやすい。交渉は苦手なんですよ。
だからこそ、ウェカピポを応援したくなります。頑張れウェカピポ、負けるな死ぬな。