サタスペプレイレポート「やっぱり猫が好き2007」その3

サタスペレポートの続きだよ。


プラム(本名はサーモンというらしい)も見つかって、今後の方針を決めようという『O7O(仮)』。しかしそこにネリーの姿はなく。お金のないネリーはいまだに釜ヶ崎でカオファンとごろごろしていた。
「ね、誰か迎えに来てくれない?」
「めんどいなぁ・・・。車買うか、この際だし」
「そのへんから車盗めばいいんじゃないの?」
「あぁ、その方が早いかもね。【犯罪】*1高いの誰だっけ」
「ネリーだよ。あ、てゆーか、ネリーが車盗んでこっち来ればいいんじゃ」
「そ れ だ !!」
そんな感じで。
鮮やかな手際で車を盗み、カオファンを連れてネリーも合流。
全員が集まったところで、イベント発生。黒服に黒サングラスの2人組が現れた。例の「MIB」のエージェントだ。
話を聞いてみると、彼らの目的は2つ。地球に滞在している宇宙人、つまりプラムの監視と援助。もう1つは宇宙人の存在を知った地球人の処理とのこと。プラムの監視についてはデータ登録をするだけでそれ以上どうこうする気はなく、むしろ生活を援助してくれるということなので、快く承諾。問題はもう1つの方。処理の方法としては、宇宙人に関する一切の記憶を消す、ということなのだが。
「こっちとしてもできれば穏便に済ませたいと思うんだが・・・その辺どう思うよ?」
「そうだな・・・記憶を消す以外の方法で処理を頼みたいんだが、どうだ?」
「どういうことだい?」
「おまえたち、アメリカから来たばっかりでオオサカに疎いんだろう?今後オオサカで活動していくなら、協力者は必要無いか、と思ってな」
「なるほどね・・・魅力的な申し出だな。確かに人手は欲しい」
「てことは・・・」
「ここは1つ」
「手を組みますか」
「組みますか」
交渉成立。


あとは再びやってくる「モンプチ団」を迎え撃つだけ!・・・なのだが、灰色猫(「モンプチ団」の副団長で、名前はトラウトというらしい)から受けた傷がまだ残っているプラム。このままってのはさすがにやばいべ、ということで、病院に連れて行くことになった。サタスペで病院といえば、悪名高き「乃木クリニック」である。やって来たPC*2を迎える院長の乃木太郎丸。動物病院「乃木クリニック」の院長で、裏で闇医者もやっている。そして筋金入りのゲイ。
「やぁキミたち久しぶり。サンチョくんは今日も可愛いねぇ。奥の部屋でお茶でもどうだい」
「結構っす。そんなことより診て欲しい子がいるんだよ」
ところがここでチームの財政担当ハシュドゥルバルが買い物の判定に失敗。このままでは治療費が払えない。まけてもらうこともできるにはできるが・・・
「サンチョくんが僕と2人っきりでティータイムを過ごしてくれるのなら、考えてもいいがね」
「待て、いい案を考えた」
「なんですかハッシュ」
「カオファンがいるじゃないか。彼ならプラムのためと喜んで身を売ってくれる」
「ハッシュ・・・恐ろしい子!!」
「・・・わかったよ。ボクが行くよ」
チームのために身を捧げる決心をするサンチョ。その自己犠牲精神に皆が涙した。



「・・・手早く済ませてくださいね」
「心配するなよ、すぐに時間なんて気にならないくらい真っ白になれる」
ウホッ!いいおとこ!
腐女子垂涎の展開である。
DD*3もせっかくだからサンチョを口説き落としてやろうと気合を入れてサイコロを振る。


ファンブル


サンチョが去り際、呟く。
「・・・へたくそ」
・・・シクシクシク



「さぁ、料金は払ったんだから治療してよね」
「ハイハイ。あー、なんかなー。やる気無くなっちゃったなー。ほいほいっと」


ファンブル
医療ミスで血を吐くプラム。


「DD今日ファンブル多すぎだよ!サイコロ変えろよ!」
「オンラインだっつーの!ダイスチャットだっつーの!みんな同じソフトだっつーの!」
「なんか悪いことしたんじゃないの、DD?」
ダイスチャットの目は偏る。オンラインセッションを経験したことがある人なら皆思うことだろう。
なんとか治療費を捻り出して、もう一回治療してもらう。今度はなんとか成功したものの、重傷は治らず。プラムに我慢してもらおうってことになった。



迎撃準備に体を休めるPCたち。治療費を作るのにがんばったハシュドゥルバルは、疲れを癒すために自宅で風呂入って酒飲んでくだをまいている。*4
と、ここでネリーが盗まれた首輪の行方を探りたいと宣言。じつは情報収集の時、ハプニングが発生してネリーの持つおたから「J.R.トールキン『首輪物語』」*5
が盗まれていたのだ。
「DD、この首輪身につけてるうえに外れないんですけど」
「それでも盗まれるんです。ルールだから」
「気づくと首元がスースーするんだな。それで無いことに気づく」
「すっげえ!オオサカのスリすっげえ!」
まぁやることもないし、取り返せたら便利だしってことで、暇な人が加わってチコチコと情報収集。しかし、ここでとんでもない事態に。
サンチョが情報収集のハプニングで怪しげな書物を読み、トラウマ*6を受けてしまう。しかもこの日はもう行動できない。つまり、「モンプチ団」との最終決戦に参加できなくなった。
なってしまったもんはしょうがないので、サンチョはフラフラしながら家に帰っていった。サンチョの中の人は暇になるので、代わりにカオファンを操作してもらうことに。


「・・・そろそろ来るぞ」
プラムが呟いた。
「人通りの無い所の方がいいな。・・・こういう時にちょうどいい場所を知っている。少し遠い・・・釜ヶ崎なんだが」
ついさっき盗んだ車で走り出す。行く先は釜ヶ崎にある西成団地のA-51棟。ここは通称「エリア51」と言われており、未確認飛行物体や内臓の無い死体が転がっていることで有名な場所だ。ワンダーワールド、オオサカ。ここなら変なものが降り立っても大丈夫。
『O7O(仮)』が着くと、ほどなくして空から直径20mほどのネコ缶型の未確認飛行物体が降りてきた。地面に降り立ったネコ缶は「プシュー」という蒸気を噴き、上部のプルタブ部分がペリッとめくれると、隙間から3匹のネコが出てきた。1匹は昨日見た、片耳の灰色猫、トラウトだ。残りの二匹は、片方が青い眼の黒猫。そしてもう片方は一回り身体が大きな隻眼の三毛猫だった。黒猫は砲撃手のマッカレル、三毛猫は団長のツナというらしい。3匹の猫は鋭い眼光をプラムと『O7O(仮)』の面々に向けて対峙した。緊迫した空気の中、隻眼の三毛猫、ツナが口を開く。
「・・・サーモン。俺が言いたいのは一言・・・一言だけだ。・・・戻って来い。あの頃のように、また俺たちと共に銀河を駆けよう」
「団長・・・。私はもう宇宙(そら)には戻れません。もっと大事なものが、出来たんです。この星の住人は、殺伐としていた私の心を癒してくれた。この生活を、護りたい。失いたくない・・・」
「・・・そうか。宇宙の男、サーモンよ。俺が認めた男、サーモンよ。・・・お別れだ」
猫たちが前肢をあげ、エネルギー波を撃つ準備に入る。と同時に、周りからうつろな目をした洗脳人間がわらわらと寄ってきた。その数6人。ニャントロ星人は他の生物をコントロールする電波を発することができるのだ。敵の数の多さに、緊迫する一同。
不意に物陰からモンプチ団に弾丸が放たれる。そこにいたのは黒サングラスに黒スーツの2人組。
「ショーの開演時間には、間に合ったみたいだな。手を貸すぜ」
「ありがたい!恩にきるよ」
「敵の増援かっ!トラウト、そっちは任せたぞ!」
さっそくドンパチをはじめるMIBエージェント。残りの敵は2匹と4人。
さらにここで参加者増加のお知らせ。一触即発の修羅場に我が物顔で乱入してくる空気の読めないイカした奴ら、それが僕らのナチスドイツ第三帝国軍だ!!ドイツ軍服に身を包んだ、齢20代後半くらいの女性が高らかに宣言する。
「我々はナチスドイツ第三帝国トゥーレ協会*7第三遊撃隊・特務第6小隊である!私は小隊長のフランシスカ・アウストだ!!我々はそこにいるネコ型の地球外生命体を欲している!その地球外生命体が持つ技術力と生命力は、地球の科学の進歩と発展に役立つこと間違いない!よって栄光あるナチスドイツ第三帝国の繁栄のため、彼らを捕獲・回収させてもらうこととあいなった!民間人は協力するように!!邪魔をするものは即刻銃殺刑に処すのでそのつもりでネ!!」
「ちょっと待て、フランシスカとやら。俺たちもこいつらと敵対関係にある。お前たちは要するに宇宙人が捕獲できればいいんだろう?俺たちはこちら側の宇宙人1人が無事なら文句は無い。ここは1つ手を組まないか?」
「むむっ、なるほど交渉しますか。それじゃあ交渉の判定に成功したら考えないでもないよ」
「よし、気合を入れて・・・」


ファンブル


「ハハッ!残念だが、ターゲットを目にしたら、ひとつ残らずかっさらえっておばあちゃんが言ってた!だから全部あたしたちのもんじゃぁーっ!!」
「DD、ロールプレイロールプレイッ」
「そこでファンブルすんなよぉー、ややこしいことになっちゃったなぁ、もぉー」
グダグダしつつ、戦場は三つ巴の形になって戦闘開始。
洗脳人間を盾にしつつ爪型エネルギー波を放つモンプチ団。対する『O7O(仮)』はカオファンがプラムを抱いて画面外に退避し、ハシュドゥルバルの援護を受けてネリーとメイシャンが突撃する。一方トゥーレ協会第三遊撃隊・特務第6小隊は、とりあえずターゲットの確保を優先してモンプチ団に攻撃。その手には恐怖のサブマシンガンが。サタスペではフルオート射撃の出来る武器は異様に強いのだ。
しかし、ここでDD予想外の展開。トゥーレ協会(略)の筆頭フランシスカの戦闘スペックが想像以上に低い。初手のフルオート射撃が命中して洗脳人間を2体倒したものの、反撃の爪型エネルギー波をまともに喰らって一気に虫の息。部下に期待しようにも、用意した部下は「三下」*8のデータを流用するとシナリオに書いてある。
「あぁっ、モラル判定*9に失敗した!!もうフルオート撃てない・・・」
「DD、DD、訊いてもいい?この人たち何しに出てきたの?」
「うるさいやいっ!科学者だから頭脳労働専門なんだよっ!!くそ、こうなったら恋愛判定で誰かを虜に・・・」
「重傷もらってるから判定にたくさんペナルティー入るよ」
「・・・」
「ねぇDD、もっかい訊いてもいい?この人たち何しに出てきたの?」


「・・・うぅーーっ!!お、おぼえてろーーーっ!!」
子供みたいな捨て台詞を残して、泣きべそかきながらトゥーレ(略)、フランシスカは逃げていった。
さて一方モンプチ団vs『O7O(仮)』。開始早々洗脳人間の弾がハシュドゥルバルにクリーンヒットしてちょっぴりドキドキしたが、突撃したネリーとメイシャンが至近距離まで近づいてしまえば彼女たちの独壇場。ネリーのデリンジャー零距離射撃とメイシャンのコークスクリューブローが炸裂し、瞬く間に洗脳人間が沈む。後に控えるモンプチ団団長ツナに迫るべく、メイシャンが突っ込む。ツナは近寄らせまいとエネルギー波を放つが、メイシャンはそれを紙一重でかわし、猫の懐に潜り込む。一撃必殺の右ストレートが猫の身体に突き刺さった。
「宇宙の男に、幸福な死などない・・・これもさだめか・・・。オマエは生きろ、サーモン。・・・幸せにな」
ツナはそう呟くと、口元をわずかに吊り上げ、倒れた。
「・・・団長が死んでも、モンプチ団は死なない。俺たちはこのまま団を継ぐ。・・・幸せにな」
マッカレルとトラウトはネコ缶に乗り、宇宙の彼方へと去っていった。
残されたツナ団長の身体をMIBエージェントが調べる。
「・・・まだ息があるな。うちに運んで治療すれば、もしかしたら助かるかもしれん」
「そっちは任せよう。あとのことやプラムのことを頼む」
「あぁ。オオサカに支部が出来たんだ。何かあった時には力を借りるぞ」


「プラム・・・宇宙人だったんだね」
「カオファン・・・。きみを巻き込みたくなくて、黙っていた。驚かせてすまない」
「うぅん、大丈夫だよ。何者だったとしても、プラムはプラムだから。また、戻ってくる・・・よね?」
「ああ。必ず。」
そういって、プラムはMIBオオサカ支部に出向していった。



数日後。BAR「JAILHOUSE」でくだを巻いている『O7O(仮)』の面々。彼らの座るボックス席にはカオファンの姿もあった。礼とともに、依頼料を渡す。ここで「おまえみたいな貧乏人からもらうほど、困っちゃいねえよ」とか「その金はプラムと暮らすためにとっときな」とか言うとかっこいいが、かっこよさで飯は食えないのでありがたく頂戴した。
店の入口が開く。マスターは新しいお客に声をかけようとそちらを向くが、入ってくるはずの客の姿はない。いや、無いのではなく、背が低くて見えなかったのだ。誰かを呼ぶ声。その声を聞いて、カオファンが入口の方を向き、ぱあっと表情を輝かせる。もう一度、今度ははっきりとカオファンを呼ぶ声。カオファンはその声の主の方に駆け寄ると、彼を抱きしめてこう言った。


「おかえりっ!!」



どっとはらい

*1:能力値の1つ。スリとか隠密とか探索とか、シーフっぽいことをする技量

*2:プレイヤー・キャラクターの略である

*3:いまさらだけど、GMゲームマスター)のことね

*4:サタスペにはドラクエでいうMPである「精神点」という能力値があり、消費することで判定を有利に出来る。消耗した精神点を回復させるには、酒を飲んだり風呂に入ったりドラッグを決めたりしてリラックスする必要があるのだ。

*5:身につけると攻撃が当たりにくくなる首輪。ただし一度つけると外れないうえ、《俺が法律だ!》という技を使われると、言いなりになってしまう

*6:精神点への半永続的なダメージ

*7:トンデモSFに出てくるような超技術を研究してナチスのために利用しようと企むトンデモ科学者の集まり

*8:サタスペの敵でかなり弱い方。雑魚。

*9:戦闘中に士気を保つ判定。失敗すると戦闘から離脱してしまう。