ソードワールド2.0キャンペーンプレイレポート 第2話「飼い犬が手を噛むので」

去年遊んだソードワールド2.0キャンペーン第2回のプレイレポートだよ。参加したPCは以下の4人。


リーンシア=マギレット(リーン)
種族:人間 技能:プリースト(ティダン)、フェンサー、ライダー
プリーストでありながら騎士を目指す、聖騎士候補の女の子。控えめながら言うことは言う、パーティーの調整役?


ローデリック=マンスフィールド(ロディ)
種族:ルーンフォーク 技能:ファイター、コンジャラー、レンジャー
主人募集中のアンドロイド戦士。このメンバーの中では一番人間臭く、人との関わりを大事にする良きロールプレイヤー。


ドーセント=ルグレ(ドール)
種族:タビット 技能:マギテック、シューター、セージ
渋いハードボイルドガンナーウサギ。キセルを買ってタバコをふかすようになった。ただでさえ少ない寿命が縮むぞ、ウサギ。


ルート=レオンハルト(ルート)
種族:エルフ 技能:グラップラー、スカウト、エンハンサー
盗んだバイクで走り出す熱血格闘家。爺ちゃん婆ちゃんっ子だったみたいで、何かと言うと「〜って爺ちゃん(婆ちゃん)が言ってた!」って言う。




花の国『フェンディル』の首都、『ディルクール』。人口約3万人。ザルツ地方で最も古い国であると言われており、魔法文明時代の遺跡や遺物が多く出土する地域。
前回の冒険から3日が経った。装備を整えたために金の無い一同は、悲鳴を上げながら生活費を払っていく。
今日は週末。いつもの『青ヒゲ亭』とは少し違った催しが行われる日で、店内は超満員だった。というのも、月に二度、週末の夜は奥のステージを使って、リルカや他のバードがライブを行うのである。
リルカは実力のあるバード*1でもあり、元冒険者の女性2人と組んで、『筋肉少女隊』という3人組ユニットで活動しているのだ。主に宿に来た冒険者から聞いた冒険の話を元に曲を作り、その曲調は激しくもあり、悲しくもあり、切なくもあり。特に人族の恋愛や人生を問う、鋭い切り口から攻めた曲が人気を呼んでおり、これも『青ヒゲ亭』の名物の1つとなっているのである。
今夜のラストの曲は「くるくる少女」。PCたちが前回関わった事件に影響を受けて書いた曲だと言う。演奏の達成値は17。素晴らしい演奏で今夜のライブは幕を閉じた。


ここでGMが叫んだ。
「「今日のフリック」のコーナーーーー!!」
なんかコーナーになったらしい。
前回からの3日間、フリックをどういう風に育てたかを決めることになった。前回は給仕をやっていたので、ウェイター技能が上がりそうになっているようだ。
「まず正拳突きを」
「それは見つけ次第止めるから」
「また給仕させる?」
「他にどんな選択肢があるんだ?」
「そうですね、厨房でガドックの手伝いをするとか、ライブの時に前列の客が前に出てこないように抑える役とか・・・」
「ガードマンは却下だ。フリックが潰れる」
そんなこんなで、今回は厨房で働いてもらうことになった。これでコック技能が上がりそうになったフリックでした。


ライブのために集まった客は、まだ興奮冷めやらぬといった感じで三々五々帰っていったり飲み始めたりしている。底へ奥からリルカがメンバーの2人と出てきて、PCの隣のテーブルで打ち上げを始めた。
「よーう諸君。どうだった、私達のライブ?」リルカはニマニマしながら聞いてくる。
「すっごい良かったです!感動しました!」
「素晴らしい演奏でしたよ。凄いですねー。」
「うん、今日の出来はまぁまぁ良かったかな。これからもアンタ達の冒険譚を元に曲作るから、ちゃんと教えなさいよね。」
「もちろん。・・・仕事があれば。」


そうしていると、『青ヒゲ亭』の扉が開き、1人のルーンフォークの女性が入ってきた。金髪のショートカットで、耳と首の部分が機械なのが見える。服装を見る限りでは冒険者のようだ。



こんな感じの女性。




(´゚Д゚`)エーって言うPCと、そうでないPCと。
「えーと・・・もしかして名前はアイギ・・・」
「まーさか!そのまんまは使わないっすよ!」
「で、ですよねー」


「やけに盛り上がってる店ですね・・・。イベントか何かかしら?」彼女はひとりごちながら、カウンターのガドックの所に行った。少ししてガドックがPCの方を指差すと、彼女はPCのテーブルに近づいて来た。
「あなた達が、エラノールさんの依頼を受けた冒険者ですか?」
「あ、あぁ。そうだけど」
「私はエラノールさんの知り合いです。彼女から手紙を預かってきました。」
そう言って彼女は、一通の手紙を取り出した。

こんにちは。あんなことをしておいて、厚かましいかもしれないけれど、あなた達のおかげで今の私がいるから、どうしても一言、感謝の言葉を言いたくて、手紙を書きました。
 私は故郷の集落に戻ろうと思います。それからどうするかは、まだ考えていません。少し、考える時間が欲しいの。そのまま故郷で暮らすかもしれないし、また冒険者に戻るかもしれないし、それはわからないわ。でも、もう彼らの魂を汚すようなことはしません。安心してね。
 あなた達が冒険者として大成するよう、祈っているわ。あなた達の上に、幸運の星が輝きますように。


「そうかぁ・・・帰っちゃったんだね・・・」
「彼女には幸せになって欲しいな。」
「そうですね。」
「わざわざありがとうございました。えっと・・・」
「マリーです。どうぞよろしく。」
「ローデリック=マンスフィールドです。こっちがリーンシアで、こっちにいるのがドールとルート。」
「でも、こんな地下にこんなにしっかりとした冒険者の店があるなんて思わなかったので少しびっくりしました。あなた達はここの専属冒険者ですか?エンブレムは貰っているんですか?」
「エンブレム?」
ルートが知らないようなので説明しよう。エンブレムとは、何度か同じ冒険者の店で依頼を受けた冒険者が、その冒険者の店からの信頼の証として貰えるものである。それを持っているという事はある程度信頼出来る冒険者として認められたという事であり、冒険者のステータスの1つとなっているのである。
「なるほどー。ガドックさん、俺達エンブレム貰えないの?」
「オマエラここ来てまだ数日だろうが。まだまだひよっこの内はやれんよ」
「そう・・・まだ新米なんですね。お互い頑張りましょう」
「マリーさんもまだなんですね。頑張りましょう」
マリーはそう言うと一礼し、カウンターに座って食事を頼んだ。


「そうだ。ちょっと提案があるんだけど」
「なんだいロディ」
「いい機会だから、ここで僕達正式にパーティーを組みたいと思うんだけど、どうかな?」
「・・・どうも何も」
「もうとっくにパーティーだと思ってたけど?」
「・・・」
「私はいいですよ。それじゃあ、改めて乾杯しましょうよ。パーティー結成を祝って」
「いいんじゃない?やろうやろう」
「じゃあパーティー結成を祝って」
「「「「かんぱーい!!」」」」



「あー、アンタ達今いい?ちょっと頼みごとがあるんだけど、こっち来てくれない?」
パーティー結成祝いでワイワイやっていた一行に、リルカが声をかけた。なんだなんだと移動する一行。なんでも、『筋肉少女隊』のメンバーの1人であるアイリーンが、悩み事があるのだそうだ。
アイリーンは人間で24歳の女性だった。
「あ、人間なんだ」
「なんだと思ったんだ」
「リルカさんの仲間だから皆ドワーフかなって」
彼女はウェーブのかかった長い黒髪が印象的で、ついさっきのライブの時は全身黒ずくめの衣装に十字架をデザインした模様などがあり、ゴスロリチックだったのが思い出される。
アイリーンは冒険者を辞めてからフェンディルで知り合ったサムトーと言う男性と付き合っていた。サムトーは26歳の人間の男性で、大工として働いている。2人はそろそろ結婚も考えており、いつ式を挙げようか、などと言ったりしていたものだった。ところが、ここ2週間サムトーが会ってくれないのである。家に行っても居留守を使われ、この間街で会ったら「ごめん、しばらく会えないんだ。理由は聞かないで」と言って逃げられてしまったという。
「一体何があったのか、気が気でないんです。それで、誰かに様子を見てもらって、出来れば理由も聞いてきて欲しいんです」
「・・・あー、そうっすか」
「まぁ、今は依頼も無いようだし、構いませんよ」
「これ、依頼ですよね?」
「ん?んー、依頼っていうかお使いっていうか」
「じゃあ報酬無しですか(´・ω・)」
「何?報酬欲しいの?・・・わかったわよ、50Gでいいわね」
「あーざーっす!(`・ω・)」
なんか前回よりも金銭欲が増しているローデリックであった。


サムトーの家はメインストリートを挟んだ北側の通りにあるという。いかにも住宅街といった感じの場所で、路地沿いに家がいくつも建ち並んでいる。場所を聞いていなければ、迷子になってもおかしくないくらいの場所だった。
サムトーの家に着いた一行。
「一般人なら、人間のリーンが話した方が向こうも安心するよな」
「じゃあノックします。「ごめんくださいー。」」
「誰だい?」
リーンシアの問いかけに反応して、中から男の声が返ってきた。
ここで聞き耳判定を要求するGM。成功したルートとロディには、家の中から「誰ですか?」という小さな女の子の声が聞こえ、その後サムトーが「静かに」と小さい声で言うのが聞こえた。
「・・・もしかして・・・」
「私達はアイリーンさんの使いです。サムトーさんの様子を見てきて欲しいと言われました。」
「・・・すまないが、帰ってもらえないか。今ちょっと立て込んでいるんだ。事が済んだら、ちゃんとアイリーンにも会うから」
「(気付いたロディ)そうだよな、会えないよなぁ」
「どうしたロディ?」
「中から女の子の声が聞こえた。多分それが今回の原因だ」
「俺も聞こえたー」
「ふむ・・・?サムトーさん、どうやらアンタには今やむにやまれぬ事情があるようだ。俺達としては、それを解決するのに協力したいと思うんだが、どうだろう」
「・・・彼女には秘密にしてもらえるかい?」
「はい。冒険者依頼人の秘密は守ります」
「・・・わかった。じゃあ、開けるよ」
そう言うと、家の扉が開いた。サムトーは金髪をショートカットにした精悍な感じの青年だった。
サムトーの家に入ると、いかにも男の1人暮らしな感じの家の中に、6〜7歳くらいの女の子がいる。
「みなさん、誰ですか?ご主人様のお友達ですか?
サムトーはため息をつきながら顔に手を当て、
「だからアイリーンには教えられないって、言っただろ?」
と言った。


続くよ。

*1:吟遊詩人。