ソードワールド2.0キャンペーンプレイレポート 第2話「飼い犬が手を噛むので」その2

ソードワールド2.0キャンペーン第2回のプレイレポートの続きだよ。前回までのはこちら


男の1人暮らしな感じの家の中に、6〜7歳くらいの女の子がいて、男をご主人様と呼んでいる。それなんてエロゲ
「・・・やっぱり」
ローデリックはため息をついた。
他の者も、女の子の首筋辺りが機械であることを見ると、「あぁ、なるほどな」という顔をする。
「ご、誤解しないでくれよ?とりあえず、とりあえず俺の話を聞いてくれ。俺は潔白なんだ」
慌てて説明をしようとするサムトーを、ローデリックは安心させるように言った。
「心配しないでください、大体状況がわかりましたから。ルーンフォークの女の子に主人と認められちゃったんですね」
「・・・ルーンフォーク?」
「あぁ、知らないのか。一般人だもんな。」
「フェンディルってルーンフォーク人口が多いんじゃないのか?」
「確かに多いですけれど、大抵のルーンフォークは集落を作ってそこに住んでますから、ディルクールではあまり見かけないでしょうね。」
「そうか・・・。わかった。ひとまず彼の話を聞こう。」
促されて彼は話し出した。2週間前、仕事が終わって家に帰る途中で、家の近くにあるゴミ捨て場に、明らかに他のゴミとは異質な装置が置いてあったのだという。そしてその中には小さな女の子が眠ったように横になっていた。よく解らないが、とにかくこのままにはしておけないと思ったサムトーは、色々ボタンを押してみた所、「プシュー」という音と共に装置が開き、女の子が起き上がった。そしてその子の第一声が、


「あなたが私のご主人様ですか?」


「そんで、「そうだ」って言っちゃったんだね」
「だって、子供を放っておくわけにもいかないだろう?」
「まぁねぇ」
「「ある日突然幼女を拾った」なんて誰かに言ったら、どう思われるかわからないから、相談も出来なくて・・・」
「だよねぇ」
「子供が入っていた装置は、保存カプセルか何かかな?」
「いや、多分小型のジェネレーターだ。子供型の個体だけを生産するタイプのジェネレーターだったんだろう」
「ジェネレーターがゴミ捨て場に!?探せ探せ!拾うんだ!」
「でも2週間前だろ?まだあるかなぁ」
「サムトーさん、安心してください。この子はルーンフォークと言って・・・」


「なるほど、そういうことなのか。」
「アイリーンさんなら元冒険者だから知ってたでしょうね。」
「それなら初めからアイリーンに相談すればよかったよ・・・。安心した。ありがとう」
「いえいえ」
「この子の名前はミクってつけたんだ。明日にでも彼女に正直に話して、引き取れるか相談してみるよ」
「そうですね・・・ルーンフォークは主人に仕えるのが普通ですし、いいんじゃないでしょうか。」


「それで、ジェネレーターはまだ残ってる?」
「さっき通った所にあったゴミ捨て場にはそんな装置は無かった気がするけど」
「ってことはもう誰かに持ってかれたのか・・・?」
「それってヤバくない?」
「人身売買し放題だな」
「ヤバいですね」
周りの家の人にジェネレーターがいつまであったかを訊くと、つい数日前まではあったと言う。ゴミ捨て場辺りの足跡を探索すると、人が頻繁に通った後が一方向に続いている。その跡を追跡していくと、ゴミ捨て場から少し東に行った所に地下への階段があり、そこに通じていた。
「これは・・・もしかして噂に聞く」
「スラム街ってヤツかな」
「多分そうですよね」
「どうするかな。突っ込む?」
「でも、スラム街って下手に入ると迷うってリルカさんが言ってたような」
「うーん、ひとまず『青ヒゲ亭』に戻るか。依頼自体は達成したんだし」
そういうわけで『青ヒゲ亭』に戻った一行。さっそくリルカが「どうだった?」と訊いてきた。一連の出来事を話すPC。黙ってPCの話を聞いていたリルカは、渋い顔になってこう言った。
「・・・それ、マズイわね。ジェネレーターって滅多なことが無い限り止まらないから、一定期間でルーンフォークをどんどん製造し続けるの。あぁ、ロディは知ってるか。」
「えぇ、よく知ってますとも。そうなんだよね、普通は壊れないんだよね・・・( ´ω`)」
故郷の集落のジェネレーターが壊れたローデリックの言葉には重みがあった。
「・・・だから、もしそのジェネレーターがろくでなし共の手に渡ったら、人身売買やりたい放題よ。」
「ですよねぇ」
「『青ヒゲ亭』からあなた達に依頼するわ。そのジェネレーターの行方を探して、取り返してきて。ルーンフォークの製造には確か最低でも3ヶ月、普通は1年時間がかかるから、その子以外に産まれてる子はいないはず。だからジェネレーターだけ確保してきて。報酬は1人1000Gね。」
「OKだ。金額も妥当だろう」
「取って来たジェネレーターはどうするんですか?」
「マギテック協会に保管してもらうのが一番いいかな。それも込みでお願い」
「りょーかい」


「さて、行方は一応目星がついてるんだよな」
「だがスラム街に入るにはガイドが必要だ」
「というわけで」
「というわけで?」
「ガドックさんいい人知りませんか?」
「あぁ、それなら・・・」
「じゃあアタシついてくわ。いってきまーす」
「え、いいんですかリルカさん」
「こらリルカ、オマエがいないと誰が接客するん・・・」
ガドックが文句を言い終わる前に、リルカはPCを(無理やり)連れて『青ヒゲ亭』を出て行ってしまった。
「・・・」
「どうするんですか、親方」
「・・・フリック、頼む」
「・・・はい」


スラム街の入口と言われる階段は、『青ヒゲ亭』に繋がる階段よりも長く、深かった。降りていくと次第に下水のニオイが漂ってきて、やがて通路に出た。中の様子は『青ヒゲ亭』付近の通路と変わらないが、通路の真ん中に溝があり、そこを下水が流れている。そして遺跡のそこかしこに、路上生活者がたむろっていた。
「そこら辺の浮浪者に訊こう。数日前にこういう装置を持って歩いてた奴らを知らないか?(10G投げる)」
「うぇっへっへ、ありがてえ。そうだな、そういや2日前に3人組が荷車持って出てったと思ったら、しばらくして何か乗せて奥に帰って行ったな」
「それだな。行き先を詳しくは知らないか?」
「そこまで俺も暇じゃねぇよ、ゲヘヘ」
「ふむ。あちこち訊いて回りながら進むしかないか」
「下水臭いから、用が済んだらさっさと帰るからね。道順忘れないようにしなよ」
「・・・あの、GM
「? なんだいリーン」
「地下に馬は入れそうですか?」
「入れはするけれど、乗れはしないね」
「ですよね・・・。外に繋いでおきます」


件の3人組の住処には、そう時間もかからずに着いた。中から物音は聞こえない。中に入ると誰もおらず、当然ながらジェネレーターの姿形も見られなかった。外にいた浮浪者に小銭を恵んで話を聞くと、彼らは荷車に装置を載せて、古売屋の方に向かっていったと言われた。
「なんだ、アイラの店か」
「知ってるの、リルカさん?」
「知ってるも何も、うち(の店)の通りにある店よ。こっちからも繋がってるの」
「なるほど。じゃあそこまで案内をお願いします」
「ふいふい。」


リルカの道案内で地下遺跡を進んでいくと、古売屋に向かう途中の通路で、荷車を引く3人組に追いついた。さっそく呼び止めるPC。
「何だよ、何の用だよオマエラ」
「その荷車に乗ってる装置に用があるんだ。それを取り返して来てくれって依頼でね」
冒険者か。こりゃあ捨ててあったんだぜ。それを俺達が拾ったんだから、俺達のもんだろう!」
「まぁそれはわかるけどね。譲ってくんない?」
「・・・1万Gだな」
吹き出す一行。
「・・・これは高いのか?安いのか?」
「安いわよ。本物のジェネレーターなんか10万G積んでもモガ」
「(リルカの口を塞ぐ)何にしろ払える額じゃありません。交渉でどうにかなる相手じゃあないですよ」
「まぁ、初めからそのつもりだったけどね。んじゃ、殴りますか!」
「チッ、力づくかよ。そう簡単にはいかねぇぞ」


というわけで、2LVフェンサー/スカウト×3との戦い。先制判定は五分の戦いだったが、ルートの出目が高くPC側が先制。ちなみにリルカは非武装なので不参加。
いつも通りルートとローデリックが前に出て殴り、ドーセントはクロスボウで攻撃。リーンシアは回復用に見(ケン)の体勢。
対するごろつき3人組は、ローデリックの重装備とルートの紙装備を見比べて、当然のごとくルートに殺到した。避けが専門のルートだが、それでも当たる時は当たる。そしてそういう時に限ってGMのダイス目が走ったりする。たちまち血塗れになるルート。相変わらず死神が目の前にいる男である。
ドーセントはリーンシアの回復が足りなかった時のためにクロスボウを足元に落とし、〈ヒーリング・バレット*1〉を撃てるように銃を用意する。でもリーンシアの回復量もそれなりなので、撃つ必要が無くなってクロスボウを拾う。そうするとルートが避け損ねて血塗れになるので、クロスボウを足元に・・・という無限ループ。
それでも回復役のいる戦士と格闘家相手に、軽戦士3人では分が悪い。ゴリゴリとHPを削られていき、2人倒れた時点で降参した。
「チクショウ、覚えてやがれー」
三下のロールプレイをしながら3人組は退散し、後にはPCとリルカとジェネレーターが残された。
「これをマギテック協会まで持っていけば、依頼達成?」
「そうなりますね」
「とりあえず一旦『青ヒゲ亭』まで行こうか。ここからだとこのまま進んだ方が近いんでしょう?」
「そうだよん」
「んじゃ行こうか」


続くよ。

*1:魔導機術2LV魔法。当たると回復する弾丸を作る。自分で自分に撃つ光景はまるでP3のようである