打ち上げたロケットは何本目だ?

ヨルムンガンド 7 (サンデーGXコミックス)

ヨルムンガンド 7 (サンデーGXコミックス)

イケメンナンパ男、アールのお話。


命のやり取りをする物語において、死というものはとても大きなイベントであり、読者の心を惹きつけてやまない場面である。とりわけバトル、つまり戦闘がある物語では、死が目前に迫った中で必死に生き抜こうとする人間たちの足掻きや心情を表現することで、話が一段と盛り上がる。日本人は昔から、「武士道とは死ぬことと見つけたり」など、死に対して特別な感情を抱いている気がする。ご多分に漏れず、僕も登場人物がボコボコ死んでいく物語が大好きだ。倒した敵が皆起き上がって仲間になりたそうにこっちを見ている展開とか打ち切りになればいい。良いキャラクター「だけど」死んでしまうのがいいんだろうがっ。ハァハァ。
ただし、TRPGにおいて大概の場合、死とはキャラクターの喪失であって、対象がPCだとしてもそれは変わらない。そして、自分のキャラクターがロストするというのはとてつもなくストレスフルなことだ。TRPGがよくわからなければ、「Wizardly」というRPGを遊んでみるといい。「Wizardly」を簡単に説明すると、死んだキャラクターの蘇生に2回続けて失敗するとキャラクターが消滅するゲームである。しかもその事実は自動的にセーブされる。ほーら想像しただけでストレスフルになるでしょう。
けれども、自分のキャラクターが消滅するかもしれないというスリルは、ゲームをより面白くするスパイスとしてはとても味の効いた代物なのである。一度ハマったら病み付きになってしまうくらいに。人間やめますか。キャラロストやめますか。
キャラロストのスリルとストレスは、どちらも半端がない。そこで賢明な先人は、蘇生ができるようにしたりしてそのストレスを減らそうと試みたのだけれども、ストレスを減らすとスリルも同じだけ減ってしまうという、なんとも絶妙なバランスになっているのである。このバランスをどうするかが難しい。僕は既にキャラロストのスリルのトリコになってしまっているので、自分がゲームを作る場合も、蘇生不可にするかもしれない。けれどもそうすると、きっと一般受けはしないだろう。コアなファンはつくかもしれないが。
生と死を扱う物語が大好きだからこそ、その運用にはとりわけ厳しくなるのです。キャラロストのスリルとストレスの黄金比みたいなものを発見したら、何の賞がもらえるかしら。